

前回お話ししましたように、フィールドマグネットタイプ(励磁型)は、通常のスピーカーユニットのように永久磁石ではなく、電磁石によって動きを制御します。
最近では非常に珍しい少数派ですが、スピーカーユニットが世の中に出始めたころ、ウエスタンやジェンセンなど、今でも人気の高いモデルにもみられるように、その頃はフィールドタイプというものは意外と多く存在していました。
というのも、その頃現在の様に良質な永久磁石が一般的ではなかったようで、電磁石のほうが作りやすかったっというのも理由の一つでしょう。
その後良質な永久磁石が手に入れやすくなってきてからは、世の中からどんどん淘汰されていきました。
とはいうものの、このフィールド型マグネットは、永久磁石にはない優れた一面もございます。
それは透磁力という、磁気抵抗の圧倒的な少なさでしょう。
永久磁石の場合、アルニコが最も磁気抵抗が少なく、フェライト、ネオジウムという順で磁気抵抗が高くなります。
そのため昔からアルニコマグネットモデルの方が音がよいという評価が多いのは、この磁気抵抗の少なさと無関係ではなさそうです。

逆にネオジウムマグネットは、永久磁石最強と呼ばれる強い磁力を誇るため、小型で非常に強力な磁気回路を作ることができます。
しかし磁気抵抗の高さと、熱が高くなると磁力が落ちるという欠点も持ち合わせています。

フェライトマグネットは、圧倒的なコストパフォーマンスの高さが魅力です。

それらと比較した場合、フィールド型マグネット(励磁型)は、マグネットのコイルなどの巻き線の出来によっても左右されますし、駆動用の電源回路出来によっても音質に大きな差が生まれます。
かつてのビンテージモデルが採用してきた励磁型磁気回路は、試行錯誤の中で生まれたものも多く、また加工技術の水準も低い時代のものですので、どうしても磁気回路の弱いものも多くみられますが、それでも圧倒的に低い磁気抵抗の影響か、とても魅力的な音を聴かせるユニットも多くあります。
また低い磁気抵抗以外にも、制動力の強さや駆動電圧のコントロールにより、音質をコントロールすることができるなど、永久磁石にはない大きなメリットもございます。
しかし、一般的には線をつなぐだけで音が出るイメージのスピーカーユニットですが、駆動するために電源ユニットが必要であるなど、手間もかかるだけでなく、エコ時代に逆行するような要素もあります。



でも、この電源電圧のコントロールで、同じユニットで様々な表情に大きく変化させることができるのは、やはりフィールド型マグネット(励磁型)の大きな魅力の一つです。

20センチサイズのフルレンジユニットとはいえ、小型コンパクトなシステム構築には不向きですので、どうしても大型システム並みの大きさになってしまいます。





エコ時代に真っ向から対抗するようなフィールド型マグネット(励磁型)ですが、とても惹かれる強い魅力があるのも事実です。
うちのデモ用にいずれ導入したいユニットですね。
と今回はここまで。
また次回楽しいお話をしたいと思います。
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