これはアンプやスピーカーなどの音質の傾向を掴むための方法の一つで、マイクロフォンから話す声をアンプやスピーカーに繋いで聞き取るというものです。
もちろん自分ひとりでも出来ない事はないのですが、このテスト方法は第三者の方がいればよりいっそう判り易いものです。
なぜかといいますと、自分の声を録音したものを聞いたとき、その聞き慣れない声に違和感を覚えたことがあると思います。
これは自分の声を耳からだけではなく、体内の振動としても認知しているため、どうしても周囲の人達が聞く声とは違って聞こえてしまうためです。
そのため自分の声をマイクロフォンで話す声と、実際再生される声の質に戸惑いを覚えてしまうことがあるからです。
そこで自分の声をよく知る知人や家族などに同席してもらえば、その声の質を適切に判断してもらい易いのです。
さてこのテストでどのような事がわかるのかと言えば、再生される声から判断してアンプやスピーカーの音質の傾向が、自分の声に近ければ近いほどそれらは音に対しての色付けが少なく、またきらびやかに聞こえたり穏やかに聞こえているとするなら、それらはそのような傾向の音質がされているというふうに分かるのです。
もちろんこれでケーブルの音の傾向も簡単に掴む事が出来ます。
さてこれでどのようなことになればいいのかといえば、ただひたすらソースの音源を忠実に再生させることが目的であるのなら、色付けのない自分の声に近い傾向を示すアンプやスピーカー、又はケーブルなどを組み合わせていきます。
ただそこは趣味のオーディオの世界です。
必ずしも忠実な再生ばかりが好まれないのも事実です。
仮にどのメーカもひたすら忠実再生ばかり目指してしまったとしたら、今のオーディオの世界のように、個性豊かな様々な製品が生まれることもなく、皆同じような物になっていたことでしょう。
そのためメーカー独自のキャラクターを持つブランドも多いのです。
たとえばJBLやマッキントッシュなどで声を聞けば、極太で力強さを感じる声になったり、アキュフェーズやタンノイで聞けば、ちょっときらびやかな部分を持つ声になるなど、それそれ様々な傾向やキャラクターがあるのです。
もちろんこれはケーブルにもいえることで、忠実な信号伝達ばかりを目標としているだけでなく、やはりそれぞれ独自のキャラクターを持つ製品が多いのも事実です。
なぜこのように個性を持たせるかといえば、ユーザーが好む音にそれぞれ好みがあるように、また音楽を聴いて感動を得るために意図的に作りこむ事さえあるのです。
また時にはショップの視聴室で最高のパフォーマンスを持たせるようなキャラクターもあります。
オーディオ装置の色付けが少ない製品の場合、ソースの質なども忠実に再生してしまうため、録音の良し悪しも露骨に出してしまい、逆に普段かけられるソースを限定してしまう事もあります。
また個性豊かな製品で組んだ場合、極端な話、マルフォルドロンのピアノも、バッハの管弦楽組曲も、AKB48も安心して同じような傾向の音質で聞くことが出来るという事もあります。
もちろんこれらは聞き手の求める方向性がどちらに向いてるかの話ですので、どちらが正解でどちらが間違いであるという話ではないのです。
ただこのようにリアルタイムテストをすれば、自分が求めている方向性なのかどうかの基準のひとつにもなり、自分なりの基準に照らし合わせた装置の良し悪しを決めることが出来るのです。
私達はただ漠然と音が良いだの悪いだのと話しているのですが、一体何が良くて悪いのかなど、具体的に分からず口にしてしまうこともあります。
自分のオーディオ装置の傾向を、一度確認しておいても損はありませんね。
意外と求める方向性の間違いに気付く事もあるのです。
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